一般社団法人Ayumiが障害者向けのコミュニケーションボードを新たに開発し、無料配布しています。
この流れは「聴覚障害・言語障害のある人から、飲食店などの店舗でのコミュニケーションに関する相談が増えてきた」という話をAyumiのメンバーから聞いたことが始まりだったのだそうで、話を深掘りしていくと、以下の課題が浮かび上がったのだそうです。
- 聴覚障害のある人にとって、感染症対策などでマスクをしている人の言葉は、口の動きが見えないため読み取りづらい。耳が聞こえないことを自己申告するまで、聞こえないことに気づいてもらえない。
- 言語障害のある人は、話し言葉だけではコミュニケーションが難しい。店員さんにジェスチャーなどで意志を伝えようとしても、なかなか伝わらないことが多い。
このようなコミュニケーションにおける課題は、障害者に限ったことではなく、ママ達からは「子供のために食事に関する相談ができたら嬉しいんですが、申し訳ない気持ちがあり頼みづらいです」という声があり、これらの課題を解決するために生まれたのが、今回のコミュニケーションボード。
コミュニケーションボードは、コミュニケーション内容をイラスト化し、具体的に示すことで、より円滑な意思疎通を図るための意思伝達ツールとなっていて、これまでも全国の自治体などで配布されているのですが、障害者や店舗にヒアリングを行ったところ、以下の理由から活用されていなかったようです。
- 機能としては良いが、デザインがもう少しオシャレだったら使いたい
- 店舗で使うことを想定した内容になっていない
- スマホを通じてコミュニケーションボードを出せたら使いたい
- 配布されるコミュニケーションボード(A4サイズの紙)を持ち歩くのは面倒
これらの課題を解決するためには、対象や状況に合わせ、コミュニケーションに関する配慮や工夫を行う必要があり、そこでAyumiは、障害者が自分から店舗スタッフに開示するためのコミュニケーションボードと飲食店を中心とした店舗に使ってもらうコミュニケーションボードを開発したのだそうです。
注文に必要不可欠な情報に加えて、その店舗が提供できるサポート内容を裏面に記載することで、来店者が気軽に頼みやすくなるように想定して作成されており、このツールを開発するにあたり、障害当事者及び来店者としての視点のヒアリング・調査だけでなく、店舗経営者の方々とも議論を重ねてきたのだとか。
そして、駅のアナウンスや電車の音などの環境音を視覚的に表現する、聴覚障害者向けの装置「エキマトペ」のデザインを行った株式会社方角に協力いただき、デザインに工夫を施してもらったとのこと。
このコミュニケ―ションボードは、公式LINEに登録をすることで、障害者向けコミュニケーションボードを無料で受け取ることができます。