ある60代の女性が、著者の認知症専門クリニック訪れました。
なんでも、10個入りパックの卵を3日連続で買ってしまい、ついに4日目になった時、不安にかられて訪ねたのだそうです。
診断の結果、女性は認知症ではありませんでした。かといって、正常な状態の脳の状態でもありません。「認知症グレーゾーン」だったのです。
認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること
- 著者:朝田隆
- 発売:2023年9月28日
- ISBN:978-4-7762-1298-0
- 価格:1400円(税別)
認知症グレーゾーンの正式名称は、MCI(軽度認知障害)。
MCIとは、日常生活に大きな支障はないものの、本人やご家族にとっては「最近ちょっとおかしいなあ」と感じるさまざまな警告サインを発する状態。いわば、正常な脳と認知症の間の状態です。
認知症に認知症になる人は、その段階として、必ずこのグレーゾーンを通るのですが、全ての人がグレーゾーンから認知症に移行するとは限らず、状維持する人もいれば、適切な対応することで認知症への移行を遅らせることもできます。さらには、4人に一人は健常な脳の状態にÜターン(回復)できることがわかっています。
その一方でそのまま認知症へ進行してしまう人もおり、ここが「認知症の分かれ道」。
では、回復する人と進行してしまう人の違いは、いったいどこにあるのか?それがこの本のテーマとなっています。
まずは、あなたの認知機能を簡単にテストしてみましょう。
キツネ回転テスト
- 左右の手でキツネの形をつくります。
- キツネの形をキープしたまま、左手の人差し指と右手の小指、左手の小指と右手の人差し指をつけます。
このとき、どちらかのキツネが自分の方を向き、もう片方のキツネは外を向いている「逆さギツネ」になっているはずなのですが、頭頂葉の機能が衰えてくると、手を回転できずに、キツネが両方とも外を向いてしまうことが非常に多いのだそうです。
他にも、チューリップ、ハトの回転テストや、10時10分の時計を描くテストなど、グレーゾーンのセルフチェックをこの本ではたくさん用意されています。
では、具体的にUターンするためには、どうするのか?その答えも、すべて本書の中にあります。
- 恋愛ドラマを観るだけで脳内にある物質があふれ出す
- 瞑想よりも塗り絵が脳にいい理由
- 思い出を話すだけで脳が元気になる「回想法」
- 脳にいい「ほめ方」
- 認知機能が平均34%アップした「すごい歩き方」
- 脳を意図的に混乱させる方法
- 2つ以上の作業を同時に行う「デュアルタスク」で脳を活性化するワケ
- 認知症リスクが最大23%下がった脳によい食事
- 脳のごみを洗い流すよい睡眠
日常の習慣をちょっと変えるだけで、Uターンへの道はひらけます。
そのための方法を、この本ではたくさん書かれています。
日本の認知症治療の第一人者と知られる著者が、40年にわたり、2万人以上の患者と向き合いたどりついた答え。
難しく考えず、「これならできそう」「楽しそう」と思うものから試してください。
じつは認知症は、長い年月をかけて認知機能が低下し、発症する生活習慣病のひとつ。
認知症を発症する20年も前から、脳の変化は始まっています。
まだグレーゾーンにまでは至らない方や、40代、50代の方にとっても、この本がいつまでも若々しい脳を保つために役立ちます!